「SDS(エスディーエス)見といてね」
実験室や工場で、こう言われて困ったことはありませんか?
SDSは、むずかしい書類に見えますが、正体はシンプルです。
化学品を安全に使うための“取扱説明書”です。
SDSとは(結論)
SDSは Safety Data Sheet(安全データシート) の略です。
その化学品について、
- どんな危険があるか(燃える?毒?肌を溶かす?など)
- どう扱えば安全か(換気、保護具、保管方法)
- 事故が起きたらどうするか(目に入った、こぼれた、火が出た)
- どう捨てるか(廃液・廃棄の注意)
- 法律の情報(対象かどうか)
などがまとまっています。
また、日本ではGHS(世界共通の危険表示のルール)に沿って、ラベルやSDSで情報を伝える考え方が広まっています。
なぜSDSが必要なの?(一番大事)
SDSが役に立つのは、主にこの3つです。
- 事故を起こさないため
火災、爆発、やけど、中毒は「知らなかった」が原因になりがちです。 - 事故が起きたときに、すぐ動けるため
応急処置、消火、漏れたときの対応が書いてあります。 - 職場のルール作りに使うため
どんな手袋が必要か、換気が必要か、混ぜてはいけない物は何か。SDSが“根拠”になります。
SDSはどこで手に入る?
よくある入手先はこのあたりです。
- メーカーの製品ページ(SDSをPDFで公開していることが多い)
- 購入先・取引先から受け取る(BtoBの取引ではこのルートが多い)
- 社内の化学品管理フォルダ/管理システム(職場によってはここに集約)
そして必ず見てほしいのが、SDSのどこかに書かれている 「改訂日」。
古い版のままだと、危険性区分や注意点がズレていることがあります。
SDSはいつ必要?(使うタイミング)
SDSは「事故が起きたら見る」だけじゃなく、基本はこの順です。
- 買う前:扱える物か?保管できる物か?
- 使う前:保護具、換気、混ぜるな危険、応急処置
- 捨てる前:廃液の注意、混ぜてはいけない組み合わせ
- 事故が起きた時:応急処置、漏えい対応、消火
SDSの形はだいたい「16項目」(読む場所が決まってる)
SDSは、だいたい決まった順番で並んでいます。
日本でも、GHSに対応したSDSには16項目が並ぶ形が基本です。
代表的にはこんな項目です(覚えなくてOK、雰囲気だけでOK):
- 化学品と会社情報
- 危険有害性の要約
- 成分情報
- 応急処置
- 火災時の措置
- 漏出時の措置
- 取扱い・保管
- ばく露防止・保護具
- 物理的及び化学的性質
- 安定性及び反応性
- 有害性情報
- 環境影響情報
- 廃棄上の注意
- 輸送上の注意
- 適用法令
- その他の情報
【超実用】初心者はSDSの“ここだけ”見ればOK
全部を最初から最後まで読む必要はありません。
最初は、次の5か所だけでOKです。
① 危険有害性の要約(まずここ)
「燃える」「吸うと危ない」「皮ふにつくと危ない」などが、まとめて書いてあります。
② 応急処置(もしも用)
目に入った、飲み込んだ、吸った、皮ふについた。
そのときの動きが書いてあります。
③ 火災時の措置(燃える系)
使っていい消火剤、危険な燃え方など。
④ 漏出時の措置(こぼした系)
避難、換気、回収のしかた。
⑤ 取扱い・保管(普段の守り方)
混ぜてはいけない、熱に弱い、直射日光NGなど。
絵マーク(ピクトグラム)は何?こわいマークの正体
ラベルやSDSで出てくる「絵マーク」は、危険の種類のサインです。
たとえば「燃える」「腐食(肌や金属を傷める)」「毒性」「健康への影響」などを、言葉より早く伝えるためのものです。
ポイントはこれ。
絵マークがある=すぐ事故、ではない。
「条件がそろうと危険が出るから、扱い方を間違えるな」という合図です。
SDSでよくある落とし穴(事故が起きやすい思い込み)
SDSを見ても事故が起きるときは、だいたい“思い込み”が原因です。
- 「薄めたら安全」:濃度で弱くなっても、ゼロではない
- 「換気してるつもり」:部屋の換気と、発生源の近くの換気(局所排気)は別物
- 「手袋なら何でもOK」:手袋は材質で強さが違う
- 「廃液はまとめて捨てる」:混ぜると危険な組み合わせがある
- 「古いSDSでいい」:改訂で注意点が変わることがある
SDSは“渡す側”にも“受け取る側”にも大事(日本の制度イメージ)
細かい法律の暗記は不要ですが、考え方だけ。
- 事業者が化学品を他の事業者へ譲渡・提供するとき、SDSで情報を伝える仕組みがあります(化管法SDS制度など)。
- 労働安全衛生の考え方では、GHSに基づくラベル・SDSで危険有害性を伝え、職場の安全対策につなげる、という流れが整理されています。
※「どの物質が対象か」は公的リストで確認できます(職場のあんぜんサイトなど)。
まとめ:SDSは、化学品の“安全の地図”
- SDSは化学品の「安全の取扱説明書」
- 初心者はまず 危険の要約/応急処置/火災/漏れ/取扱い保管 だけ見ればOK
- 使う前・捨てる前・事故のときに、命と財産を守ってくれる
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