就職・期限つき研究職・大学の席を「超やさしく」整理
「博士まで行ったら、その後はどうなるの?」
「博士って、教授になる人だけの道?」
こう思う人は多いです。
でも実際は、博士のあとにはちゃんといくつも道があります。
しかも大事なのは、どれが“上”とか“正解”とかではなくて、
自分が何を大事にしたいかで向き先が変わる、ということ。
この記事では、博士課程を卒業したあとの進路を整理します。
まず結論:博士のあとに多い道は大きく3つ
博士のあとによくある道は、ざっくりこの3つです。
- 会社に就職する(企業)
- 期限つきの研究職で働く(ポスドクなど)
- 大学・研究機関の“席”を取りに行く(助教など)
※②と③は「研究をする」という点は似ています。
でも違いは“雇われ方”です。
- ②:期限つきが多い(任期つき)
- ③:大学・研究機関のポジション(席)を取る。任期なしもあれば任期つきもある
ここを分けて考えると、迷子になりにくいです。
そもそも博士卒って、何ができる人?
博士課程でやっていることを、めちゃくちゃ簡単に言うとこうです。
- 問題を見つける
- どう確かめるか考える
- 実験・分析する
- うまくいかない原因を探して直す
- 結果を文章や発表で説明する
つまり博士卒は、一言でいうと
「難しい問題を、分けて、順番に解いて前に進められる人」
この力は、研究室の外でも普通に役に立ちます。
だから博士の進路は、大学だけじゃありません。
進路① 会社に就職する(企業)
「博士って会社に行けるの?」
→ 行けます。むしろ普通に行きます。
会社でできる仕事(化学系の例)
博士卒が活躍しやすい仕事は、研究開発だけじゃありません。
- 研究開発:新しい材料・製品を作る
- 分析:不良の原因を調べる、品質を測る
- 品質保証:品質を守るルールを作る
- 製造技術・プロセス開発:工場で安定して作れるようにする
- 規制対応:法律やルールに合うようにする
- 知財(特許):発明を守る
- 技術営業:技術の説明でお客さんの課題を解決する
博士で鍛えた「原因を探す」「データで説明する」「粘り強く改善する」は、会社でも強いです。
企業に行くメリット
- 安定しやすい(任期がないことが多い)
- 生活の見通しが立てやすい
- 「役に立つ成果」を作る経験が積める(納期・品質・コストなど)
注意点(ここも大事)
- 研究室みたいに「自分の好きなテーマだけ」は難しいことがある
- チームで動くので、自由度は下がる場合もある
ただ、研究が好きでも「安定も大事」「現実に役立つ仕事がしたい」人には企業は相性が良いです。
進路② 期限つきの研究職で働く(ポスドクなど)
博士のあとに研究を続けたい人が選ぶ道のひとつが、期限つきの研究職です。
代表がポスドクです。
「期限つき(任期つき)」って何?
「2年」「3年」など、最初から働ける期間が決まっている働き方です。
なぜ期限がつきやすいかというと、ポスドクは多くの場合、
- 研究プロジェクトのお金で雇われる
- そのお金がある期間だけ雇える
という形だからです。
期限つき研究職は何をするの?
研究をします。仕事として研究します。
- 実験・解析
- 論文を書く
- 学会で発表する
- 研究を前に進める
学生との違いは、「勉強」より「成果」が強く求められるところです。
②を選ぶ意味(ここが一番大事)
期限つき研究職は、こう考えると分かりやすいです。
「次の席(次の職)を取るために、実績を増やす期間」
たとえば
- 論文を増やす
- 新しい手法(分析・計算・装置)を身につける
- 海外や別分野に広げる
など、“次へ行くための武器”を作る期間になりやすいんです。
②のメリット
- 研究に集中しやすい
- 実績が増える(論文・発表・スキル)
- 人脈が広がる(共同研究、海外など)
②のデメリット(現実)
- 期限が来たら次を探す必要がある
- 住む場所や研究テーマが変わることもある
- 生活が落ち着きにくい場合がある
進路③ 大学・研究機関の“席”を取りに行く(助教など)
③は「大学や研究機関で研究を続ける道」です。
ただし、ここで超重要なことがあります。
③は1種類じゃない(ここが混乱ポイント)
「助教」と言っても、大きく2タイプがあります。
- 任期つき(期限あり)の助教・特任系
- 任期なし(または将来の安定が見えやすい)常勤の席
(テニュアトラックなどを含む)
どちらも研究はします。
でも 安定度と競争の強さ が違います。
- 任期つき:入り口になりやすい場合もある
- 任期なし:競争が強く、より実績が求められやすい
③の仕事は「研究だけ」ではない
大学・研究機関のポジションは、研究に加えてこういう仕事も増えます。
- 学生実験の運営
- 安全管理
- 装置管理
- 学生指導
- 学科の仕事(運営)
つまり③は、「研究ができる」だけでなく、
研究室や組織を回す側に近づく道です。
「ポスドクなしで③に行けるの?」(ここがよくある疑問)
結論:行けることはあります。
ただし、現実には「②(ポスドクなど)を挟む人が多い」ので、同じに見えがちです。
直行しやすい人の特徴
- 博士のうちに 強い実績がある(例:筆頭論文、発表)
- 学生実験や安全など、現場を回す力を説明できる
- 募集先のテーマと自分の研究がピッタリ合う(ニーズにハマる)
直行が難しくなりやすい場合
- 博士の成果がまだ薄い(論文が少ない、筆頭がない等)
- 応募者が多い枠(競争が強い)
- 研究室運営経験を言語化できない
この場合は、②で1〜3年実績を足してから③を狙う方が勝ちやすいです。
迷ったら、この3つで決める(超かんたん判断軸)
博士卒業後の道で迷ったら、次の3つで考えるとブレにくいです。
① 研究をどれくらい続けたい?
- 研究をずっとやりたい → ②や③
- 研究の力は活かしたいが別の成果も作りたい → ①
② 安定はどれくらい大事?
- 安定がかなり大事 → ①
- 期限があっても挑戦したい → ②
- 長く研究を続ける席が欲しい → ③(特に任期なし側)
③ 次に持っていく“武器”は何?
- 論文で勝負
- 分析・計算・データなどスキルで勝負
- 工場・品質・安全など実務で勝負
「自分の武器はこれ」と言えると、進路は決めやすいです。
いつから動くのがいい?(博士在学中の動き方)
博士のあとで困りやすいのは「考え始めるのが遅い」パターンです。
博士の途中から、うっすらでも出口を考え始めるのが現実的です。
- 企業:業界研究、インターン、OB訪問、説明できる実績整理
- 期限つき研究職:どこで何を積むか、推薦状などの準備
- 大学・研究機関の席:論文計画、学会、共同研究、指導・運営経験の整理
よくある質問(FAQ)
Q. 博士卒って就職に不利?
不利とは限りません。
ただし「博士だからすごい」では伝わりません。
何ができる人か(問題解決・データ・説明)を相手の言葉で言えると強いです。
Q. 専門がズレたら終わり?
終わりではありません。
博士の強みは「専門」だけでなく、
原因究明・検証・説明の力です。これが武器になります。
Q. ②と③って結局同じじゃないの?
似てます。でも違います。
②は 期限つきで実績を増やす期間になりやすい。
③は 大学・研究機関の席(ポジション)を取ることが目的。
③にも任期つき・任期なしがあるので、そこも分けると分かりやすいです。
まとめ:博士のあとに正解は1つじゃない。違いは「安定」と「ゴール」
- ①企業:安定しやすく、博士の力が活きる仕事が多い
- ②期限つき研究職:研究で実績を積む“期間”。次を見ながら動く
- ③大学・研究機関:研究+教育+運営を担う“席”を取りにいく(任期つき/任期なしがある)
- ポスドクなしで③に直行できることもあるが、条件がそろう場合が多い
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