省エネの国家資格「エネルギー管理士」完全ガイド

転職・キャリア

エネルギー管理士は、ひとことで言うと 会社の「電気代・燃料代のムダ取り係のリーダー」 です。
工場や大きいビルみたいにエネルギーをたくさん使う場所では、ちょっとしたムダがそのまま大金になります。そこで、

  • どこでムダが出ているかを見つける
  • どう直せばいいかを考える
  • 直したあと本当に減ったかを数字で確かめる

この一連を回せる人が必要になります。
そしてエネルギー管理士は、そういう「省エネの専門家」として、省エネ法に基づくエネルギー管理の担当者になるための資格として位置づけられています。

  1. そもそも「エネルギー」って何?(超入門)
    1. エネルギー=「動かすための元気」
    2. いちばん大事な2つの単位(ここで詰まる人が多い)
    3. 効率=「入れた元気のうち、役に立った割合」
  2. エネルギー管理士は「何を守る資格」?
    1. ① 会社のお金(光熱費)
    2. ② 会社の安定(止まらない・事故らない)
    3. やることは、実は3つだけ
  3. なんで「資格」が必要になるの?(法律の話を“超短く”)
    1. 国の考え:大口で使うところは、ちゃんと管理してね
    2. 会社の現実:誰がやるの問題が起きる
  4. 熱分野」と「電気分野」って結局なに?
    1. 熱分野=「お湯・蒸気・燃料」の世界
    2. 電気分野=「モーター・電力の使い方」の世界
    3. まとめ:世界が違うだけで、やることは同じ
  5. 取り方は2つ(「テストコース」か「経験者コース」)
    1. ルートA:国家試験で取る(テストコース)
    2. ルートB:認定研修で取る(経験者コース)
    3. どっちが向いてる?
  6. 「合格」と「免状(カード)」は別物(ここが落とし穴)
    1. 合格=「試験に受かった」
    2. 免状=「正式な資格としてのカード」
    3. 実務経験は「合格後じゃないとダメ」?
    4. 実務は「熱も電気も両方」必要?
    5. 「実務」って何をやってればOK?(超ざっくり)
  7. 熱と電気、どっちを選ぶ?(迷わない決め方)
    1. ① いちばん強い決め方:職場(志望先)で決める
    2. ② 次に強い決め方:得意で決める(高校生向け)
    3. ③ 重要な注意:試験の合否判定は“選んだ分野だけ”
    4. ④ 迷う人への最終アドバイス
  8. 取ったら何が得?
    1. 得するポイントは、だいたいこの3つ
    2. 具体的に、どんな仕事で活きる?
    3. 資格手当はある?
  9. よくある質問(ここだけ読めば迷子にならない)
    1. Q1. 高校生でも受けられる?
    2. Q2. 実務経験って、合格後じゃないとダメ?
    3. Q3. 実務経験は“熱も電気も両方”必要?
    4. Q4. “実務”って、どんな作業が対象?
    5. Q5. 独学できる?(どれくらいの難しさ?)
    6. Q6. 熱と電気、どっちが簡単?
  10. まとめ
    1. 今日覚えるのはこれだけ

そもそも「エネルギー」って何?(超入門)

エネルギー=「動かすための元気」

人間で言うと、朝ごはんのカロリーが元気になりますよね。
会社だと、その元気が 電気ガス燃料 です。これで、

  • モーターを回す(工場の機械、ポンプ、ファン)
  • 冷やす・温める(エアコン、冷凍、ボイラー)
  • 光らせる(照明)
  • 乾かす(乾燥炉)

みたいなことをします。

いちばん大事な2つの単位(ここで詰まる人が多い)

高校生向けに、いったん「蛇口とバケツ」で覚えるのが楽です。

  • kW(キロワット)=その瞬間の強さ
    蛇口の開き具合みたいなもの。「今、どれくらい勢いよく使ってるか」。
  • kWh(キロワット時)=使った量(合計)
    バケツに溜まった水の量。「結局、今日どれだけ使ったか」。

例)
ドライヤーが 1 kW で、1時間使ったら 1 kWh。
2時間使ったら 2 kWh。バケツがどんどん溜まるイメージです。

効率=「入れた元気のうち、役に立った割合」

ここも超大事です。

  • 100入れて、80ちゃんと仕事した → 効率80%
  • 残り20は、熱として逃げたり、摩擦で消えたりして「ムダ」になった

エネルギー管理士の仕事は、この ムダ20を小さくする 方向に現場を動かすことです。

エネルギー管理士は「何を守る資格」?

結論から言うと、守るのは主にこの2つです。

① 会社のお金(光熱費)

ムダは、毎月ずっとお金を吸い続けます。
たとえば「空調を必要以上に強く回している」「蒸気が漏れている」「モーターが古くて損している」みたいな状態は、気づかないと永遠に課金されます。

② 会社の安定(止まらない・事故らない)

ムダを減らすって、ただ節約するだけじゃありません。

  • 設備がムリして動くと壊れやすい
  • 異常な使い方はトラブルや事故につながる
  • 省エネのつもりで雑に運転を変えると逆に危ない

だから「安全に、ちゃんと数字を見ながら」改善する必要があります。

やることは、実は3つだけ

専門用語を抜くと、これだけです。

  1. 見える化:電気代の原因を数字で見えるようにする
  2. ムダ探し:どこがムダの犯人か当てる
  3. 改善:直して、効果が出たか確認する

この3つを回す人=エネルギー管理士、と思ってOKです。

なんで「資格」が必要になるの?(法律の話を“超短く”)

国の考え:大口で使うところは、ちゃんと管理してね

日本には省エネ法があって、エネルギーをたくさん使う会社は、管理の体制を作って、担当者を決めて、必要に応じて届け出をします。

ここで出てくるのが、たとえば

  • エネルギー管理統括者
  • エネルギー管理企画推進者

みたいな役割です(名前は堅いですが、要は「会社の省エネをまとめる責任者」)。
実際に、選任・解任の届け出案内や様式も経産省側に用意されています。

会社の現実:誰がやるの問題が起きる

省エネは「気合い」ではできません。

  • 計測(数字)が要る
  • 設備の知識が要る
  • 現場との調整が要る
  • 改善して終わりじゃなく、効果確認が要る

だから会社は「分かる人」を置きたい。
そこで “省エネの専門家”として看板になる資格 が、エネルギー管理士です。省エネ法に基づくエネルギー管理者等になるための資格として整理されています。

熱分野」と「電気分野」って結局なに?

エネルギー管理士は、受験するときに 「熱」か「電気」どちらか を選びます。
ただし最初に安心ポイント。

免状(資格のカード)自体に、熱・電気の区別はありません。
熱で取っても「エネルギー管理士」。電気で取っても「エネルギー管理士」です。

熱分野=「お湯・蒸気・燃料」の世界

熱分野は、イメージで言うと 巨大なお風呂 です。

  • 燃料(ガス・重油など)を燃やして
  • お湯や蒸気を作って
  • 工場の乾燥や加熱、ビルの暖房に使う

この世界でのムダは例えばこんな感じ。

  • 配管から蒸気が漏れてる(=お金が空に飛んでる)
  • 断熱が弱くて熱が逃げてる(=せっかく温めたのに冷める)
  • 燃やし方が下手でムダに燃料を食う(=燃費が悪い)

電気分野=「モーター・電力の使い方」の世界

電気分野は、イメージで言うと スマホのバッテリー管理 です。

  • どのアプリが電池を食うか見て
  • 設定や使い方を変えて
  • 電池持ち(電気代)を良くする

会社での「電池食い虫」は、モーターや空調、コンプレッサーなどが多いです。

この世界でのムダは例えばこんな感じ。

  • 必要ないのにファンが全力運転(=ずっと全開で回してる)
  • 古いモーターでロスが大きい(=効率が悪い)
  • 電気の使い方のクセでピークが高い(=契約電力が上がって高くつく)

まとめ:世界が違うだけで、やることは同じ

熱でも電気でも、結局やるのはこれです。

  1. 数字を集める(見える化)
  2. ムダの犯人を当てる(原因探し)
  3. 直して効果を確認(改善)

取り方は2つ(「テストコース」か「経験者コース」)

エネルギー管理士は、ざっくり 2ルート あります。

ルートA:国家試験で取る(テストコース)

勉強して試験に合格する方法です。

流れはこれだけ。

  1. 受験(熱 or 電気を選ぶ)
  2. 必須基礎+専門の課目を全部クリア
  3. 合格したら、あとで免状申請(ここで実務経験の話が出る)

ポイント:

  • 受験資格の制限は基本なし
  • 選んだ分野(熱/電気)の4課目で判定される

ルートB:認定研修で取る(経験者コース)

これは 「現場経験がある人向け」 のルートです。

  • 講義を受けて
  • 修了試験に合格して
  • 認定される

ただし条件がはっきりあります。

3年以上の“省エネに関わる実務経験”が必要です。


どっちが向いてる?

  • 学生・未経験〜経験浅め:まずは 国家試験ルート が現実的
  • 現場で省エネをやってきた人: 研修ルート がハマることが多い

「合格」と「免状(カード)」は別物(ここが落とし穴)

ここ、かなり大事です。

合格=「試験に受かった」

試験に合格すると、まず 合格証 が出ます。

免状=「正式な資格としてのカード」

免状をもらうには条件があります。

試験合格 + 1年以上の実務経験(省エネに関する実務)
この両方がそろって、はじめて免状を申請できます。


実務経験は「合格後じゃないとダメ」?

いいえ。
実務経験は 試験合格の前後を問いません

つまり、

  • 先に働いて経験を積む → その後合格 → 免状申請
    でも
  • 先に合格 → その後1年以上実務 → 免状申請
    でもOKです。

実務は「熱も電気も両方」必要?

これも、よく誤解されます。

熱・電気どちらかで1年以上の実務があればOK です。


「実務」って何をやってればOK?(超ざっくり)

イメージとしては、
実際に動いている設備に関わって、エネルギーのムダを減らす仕事です。

逆に注意点。
「設計・診断・提案・施工」みたいに、納品側の仕事は原則対象外、という整理があります(※現場の実稼働設備に一定期間携わることが重要)。

熱と電気、どっちを選ぶ?(迷わない決め方)

ここは“才能”じゃなくて、環境と目的で決めるのが勝ち筋です。


① いちばん強い決め方:職場(志望先)で決める

  • 工場でボイラー、蒸気、燃焼、乾燥炉が主役 →
  • モーターだらけ、受電設備、電力ピーク対策が主役 → 電気

② 次に強い決め方:得意で決める(高校生向け)

  • 化学の「燃焼」「熱」「気体」「エンタルピーっぽい話」が好き →
  • 物理の「電気」「回路」「ベクトル」「計算」が好き → 電気

③ 重要な注意:試験の合否判定は“選んだ分野だけ”

同じ年に、熱と電気のいいとこ取りで合格判定…みたいなことはできません。
合格判定は、その年に選んだ分野だけ で行われます。


④ 迷う人への最終アドバイス

「どっちで取っても免状は同じ」なので、まずは

  • 自分の身近な設備に近い方
  • 勉強が進みそうな方

で選んでOKです。

取ったら何が得?

得するポイントは、だいたいこの3つ

① 光熱費の話を「感覚」じゃなく「数字」でできる
たとえば「エアコン弱めよう」って言うだけだと、現場は動きません。
でも「この運転を変えると、月に○円下がる」「ピークが下がって契約が変わる可能性がある」みたいに数字で説明できると、通りやすくなります。

② 会社の中で“頼られる役”になりやすい
省エネは、設備・現場・経理・上の人、全員が関わります。
ここをつなぐ役ができると、仕事が増えます(=評価されやすい)。

③ 配属や担当の幅が広がる
「機械が好き」「電気が得意」「熱のほうが分かる」みたいな得意が、そのまま仕事につながりやすいです。


具体的に、どんな仕事で活きる?

イメージしやすい順に並べます。

工場(製造業)

  • ボイラー、蒸気、乾燥、冷凍、モーターなど「でかい設備」が多い
  • だから少しのムダでも金額が大きい
    → 省エネの担当が必要になりやすい

ビル・病院・商業施設(設備管理)

  • 空調・照明・給湯が中心
  • 「運転のしかた」で差が出る
    → 設定や運転の最適化がそのまま成果になる

エネルギーサービス(省エネ提案側)

  • 省エネの診断や改善提案、運用の支援
    ※免状申請の「実務経験」の扱いは別で条件があるので、ここは注意(FAQで説明します)。

資格手当はある?

会社次第です。
「資格手当が出る会社」もあれば、「手当はないけど担当になれる」会社もあります。ここは求人票・社内規定で確認が確実です。

よくある質問(ここだけ読めば迷子にならない)

Q1. 高校生でも受けられる?

受験だけなら、基本だれでも受けられます(受験資格なし)。
ただし、ここが大事。

  • 試験に合格=「合格した」
  • 免状(資格のカード)を申請=「正式なエネルギー管理士として登録」

免状をもらうには、1年以上の実務経験が必要です。
だから高校生のうちは「まず受験して合格→就職して実務→免状申請」という流れになります。


Q2. 実務経験って、合格後じゃないとダメ?

合格の前後は問いません。
つまり「先に働いて経験→合格→申請」でも「先に合格→経験→申請」でもOKです。


Q3. 実務経験は“熱も電気も両方”必要?

どちらか片方でOKです。


Q4. “実務”って、どんな作業が対象?

超ざっくり言うと、
エネルギーを使う設備の運転・管理・監視・改善に関わる仕事です。

注意:たとえば照明のスイッチを押すだけ、みたいな「ただの操作」は実務として認められにくい、という考え方がQ&Aで示されています。


Q5. 独学できる?(どれくらいの難しさ?)

独学は可能です。ただし範囲が広いので、コツがあります。
コツは「最初から全部理解しようとしない」ことです。

  • まず単位(kW/kWh、効率)だけ固める
  • 次に過去問で“よく出る型”を覚える
  • それから細かい理屈を埋める

そして助かる仕組みがこれ。

課目合格(合格した課目は、一定期間その課目が免除される)
一気に全部クリアできなくても、分割で取りにいけます。


Q6. 熱と電気、どっちが簡単?

「人による」が正直な答えです。
ただ“選び方”はシンプルにできます。

  • ボイラー・蒸気・燃焼・乾燥が身近 → 熱
  • モーター・受電・電力ピークが身近 → 電気

さらに安心材料として、どちらで合格しても免状はエネルギー管理士です。

まとめ

今日覚えるのはこれだけ

  • エネルギー管理士=会社の「ムダ取りリーダー」
  • 受験は熱か電気を選ぶ
  • 取り方は2つ(国家試験/認定研修)
  • 免状には実務経験1年以上が必要(合格の前後は問わない)
  • 課目合格(免除)を使えば、分割で攻略できる

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